医師になったのは2000年でしたので約20年間獨協医科大学埼玉医療センター第一整形外科(入職時は獨協医科大学越谷病院整形外科)とその関連施設で診療を行ってきました。主に肩関節の専門外来として大学では診療していましたが、関節外科を専門にしてきましたので下肢の人工関節やスポーツ外傷に対する膝関節鏡視下手術にも携わってきました。肩関節は整形外科専門医の中でも得意としている医師は少ないため、徐々に遠方からの紹介も増え、このまま勤務医として手術を中心とした診療を継続していくつもりでいました。

そのような中、数年前に縁あり開業の話を頂いた事がありました。残念ながらその話は無くなってしまいましたが、通常の手術をしなくなる開業ではなく、連携病院で手術を継続することで、より専門性を高めた治療ができるのではないかと考え始めたのです。

そこで大きな壁になったのはMRIです。クリニックに導入しやすいオープン型のMRIは0.2から0.4テスラ程度の低磁場であり、基幹病院では1.5テスラ、大学病院規模であれば3.0テスラの高磁場MRIを導入しています。より鮮明に、正確な画像を得るためには、やはり1.5テスラの超電導MRIが必要ですが費用と設置スペースの問題から個人のクリニックではなかなか導入が難しいのです。しかしながら肩関節診療、スポーツ整形診療には1.5テスラ以上のMRIが必須ですし、長引く腰痛と思っていたら癌の転移や悪性リンパ腫や多発性骨髄腫骨髄腫などの病変がMRIで見つかるという事もあるため、エコーが普及した現在でも超電導MRIは整形外科診療の中心であります。

クリニックでは検診センターや基幹病院にMRIを外注することが通常ですが、それでは時間も手間もかかりますし、遠方から来ていただく方もいますので自院での1.5テスラ超電導MRI導入を決めました。専門である肩やスポーツ障害のほか、副院長のペインブロック外来の主な対象である腰痛や坐骨神経痛などの方に待機時間少なく利用できればと思っています。


運動器エコー(超音波診断装置)の普及も開業を決める後押しとなりました。現在の肩の診療にはエコーは欠かせません。エコー下での関節注射、ハイドロリリースや神経ブロックなどで診療の幅が広がっていますし、理学療法士もエコーを用いながらの運動器リハビリを行うようになってきました。しかしながら大きな病院では共有エコーを個人の診療に独占することは難しいですし、理学療法士がエコーをリハビリ施術中に使用することは更に難しい現状があります。そのため当院ではリハビリスタッフとより連携を深めるためにも診察用に2台、理学療法士・作業療法士用に1台、最新のエコーを導入し診療に活用することにしました。

当院では関節内注射の多くはエコーガイド下に行います。1000例以上の肩関節鏡手術を経験しておりますが肩関節への関節内注射は実は非常に難しい場合が多く、容易であるとすれば大きな腱板断裂で水腫を伴う状態に限られます。肩関節を例にとってもインピンジメント症候群、腱板断裂に対する肩峰下滑液包への注射、凍結肩(一般的に言うところの五十肩)、変形性関節症、関節リウマチによる滑膜炎などに対する関節包内への注射、変形性肩鎖関節症に対する肩鎖関節への注射、上腕二頭筋長頭腱炎に対する結節間溝への注射、様々な痛みに対する肩甲上神経ブロック、烏口肩峰靭帯周辺のハイドロリリース、四辺形間隙症候群(quadrilateral space syndrome:QLS)による腋窩神経障害に対するハイドロリリースなど様々な部位があります。

どの部位に注射するのか、注射する薬剤としてもヒアルロン酸、ステロイド、ハイドロリリースを目的にした生理食塩水などがあり、何を用いるのか、それらを専門的な診断のもとに最低回数、エコーガイド下に注射しています。

・クリニック休診日である金曜日に連携する医療機関で肩関節外科の手術を継続すること。
・地域基幹病院同等の1.5テスラ超電導MRIを導入すること。
・エコーを最大限活用し、診断だけでなくブロック注射を正確、安全におこなうこと。
・副院長による運動器に特化したペインクリニック外来を併設すること。
・漫然とした電気やマッサージなどの通うリハビリから運動器リハビリテーションを中心とした治すリハビリを診療の柱にすること。
・スポーツ整形外科として障害予防に取り組むこと。


一つでも欠ければ勤務医を継続していたと思います。
このようなクリニックを開院できたのも当院に関わる皆様のご協力あってのことです。

基幹病院同等の診療を行いつつ、クリニックだからこそできる一人ひとりに寄り添った医療を提供する。」

このクリニック理念を忘れずにスタッフ共々日々成長し、専門性を持った医療知識と技術を提供することで地域に貢献できればと思っています。      

榎本光宏

*当ホームページは無駄に長文が多く洗練されておりません。院長がゆっくり一人で作ってきたものですのでうまく機能していないところがあったりするかもしれませんし、クリニック公式HPというより個人の独り言のようなHPです。ご了承ください(^^)